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施設見聞録
 <2003年46号(秋号)>
住江織物株式会社
●「KKR+A」をキーワードに進化し続ける「住江織物」
国会議事堂内、衆議院本館第一委員室にもカーペットを納入。
明治16年に創業して以来、約120年にもわたって人々の生活に欠かせない“織物”を提供し続けてきた「住江織物株式会社」。北海道から九州にまで、支店や事業所、関連企業が点在し、日本で初めて国産カーペットをつくったという歴史を持っており、国会議事堂のカーペットや天皇・皇后・皇太子・皇太子妃の旗なども製作しました。
古い時代から培ってきたすばらしい伝統や技術を守り抜いている一方で、消費者のライフスタイルやニーズの変化に伴い、品質やデザイン、機能性、価格など、それぞれの時代性に合わせて柔軟に対応してきました。
そして、21世紀。伝統とニューテクノロジーを結合させた新しい商品や機能次々と市場に送りだし、ライフスタイルの向上に貢献してきたこのグループでは、「環境・健康・リサイクル+アメニティ」=「KKR+A」を企業コンセプトに、時代を先取りした“織物”企業として、現在、様々な分野で活躍をしています。
今回は、平成10年に、ISO9002を、また、平成13年にはISO14001を認証取得し、品質管理面および環境保全に力をそそいでいる「奈良事業所」と、こちらが開発した画期的な技術“トリプルフレッシュ”にスポットをあてて紹介します。
こちらが天皇旗。すべて手織りによって製作されている。
 
●現代人のニーズに合わせて開発された
 3大消臭機能のトリプルフレッシュ加工
昭和46年4月に、タフテッドカーペットの一貫生産工業としてスタートした奈良事業所。
約10万m2の広さを誇るこちらでは、最近、焼却してもダイオキシンなどの有害物質の発生が極めて少ない非塩ビ系タイルカーペット(OH-TILE)や、悪臭を吸着・分解するトリプルフレッシュ加工を施したカーペット(特許申請中)を開発しました。この“トリプルフレッシュ”とは、室内汚染物質であり、人体に多大なる悪影響をおよぼすホルムアルデヒドを科学的に吸着し、安全な物質に素早く分解するとともに、タバコ臭や生ゴミ臭などの不快な生活臭をも同時に消臭するシステムです。ニオイを吸着しやすいという織物の弱点・難点を逆手にとったこの発想は、「無臭至上主義」である現代人のニーズにヒットし、一般住宅で使用されるカーペットやカーテンにはもちろん、大手自動車メーカーの車の内装などにも採用されています。また、究極の密室空間である鉄道や航空機などに関しては、現時点では試用段階ではあるものの、大きな注目を集め、採用する方向へと進んでいます。
 
「奈良事業所」はJR大和路線「法隆寺」駅から車で約5分のところにある。   オレフィン・ハードタイル(OH-TILE)。人と環境に優しいだけでなく、一般の塩ビ硬質床材に比べてゴム跡などの汚れが付きにくい。
 
●トリプルフレッシュに新たな効果を加えた新技術が間もなくお目見え
各所で高い評価を受けている“トリプルフレッシュ”ですが、これだけにはとどまらず、さらに便臭・加齢臭・汗臭の3つの消臭効果を加える技術が開発されています。現在こちらは実験中だそうですが、この技術が施された織物がリリースされると、老人ホームや病院などで過ごす人たちが、より一層快適に暮らせるようになりそうです。
 
●あらゆる技術を開発し続ける「奈良事業所」
「住江織物株式会社」の「奈良事業所」には、独自の技術開発によってつくられたシステムが多くあります。
  ●デジタル染色システムII
  インターネットを介して顧客の要望を瞬時に取り込む“カラーコミュニケーションシステム”、赤・青・黄の母液ラインを自動調節して染浴を吐出する完全自動の“連続染浴供給システム”、熱によって瞬時に色を染めあげる“ヒート&スプレーカーペット連続染色機”の3つから構成されています。
  ●撮るアート
  床材や壁材を楽しく彩る顔料プリントシステム。製造過程でのエネルギーや資源の使用量が極めて少ないデジタルプリント方式です。
  ●ナッセンジャー
  コンピュータでデータ化したデザインを布地にインクジェット染色するシステム。製版不要で小ロット対応可能。衣類・インテリア用品や観光バスシート地などに至るまで幅広いマーケットに使用可能です。
その他、「奈良事業所」ではクリーンな都市ガス使用による自家発電も行っています。
 
省エネかつ省資源の「完全自動連続染浴供給システム」   写真で撮った画像を床材や壁材にプリントできるシステム「撮るアート」
 
●奈良事業所敷地内にある試験棟「関西ラボラトリー(株)奈良ラボ」
「住江織物株式会社」の関連会社である「関西ラボラトリー(株)奈良ラボ」では、繊維系床材および硬質系床材の各種試験用システムが揃っています。試験室内には、独自に開発された試験用機械をはじめ、各国から取り寄せられたさまざまな試験用機械が並び、一般用カーペットに関しては、JNLA認定試験やJIS試験、その他の規格試験を、自動車・車両用カーペットに関しては、各社自動車や車両規格の試験を行っています。
 
燃焼性を調べる「NBSスモークチャンバー試験機」   主に会社向けカーペットの実験として使われる「チェアキャスター試験機」
 
●奈良事業所内にある「リサイクル施設」
リサイクルにも力を入れている奈良事業所では、タイルカーペット製造時に発生する耳屑ロスをなくす“PVCタイルカーペットリサイクル装置”や汚泥廃棄物をRPF化するための“汚泥乾燥装置”、カーペット廃材のリサイクル技術である“カーペット廃材リサイクル実証プラント”など、環境負荷を減少するための努力をしています。
 
●「KKR」という土台があるからこそ得られるこの時代のアメニティ
本来は、カーペットやカーテン=アメニティ(快適性・優しさ)でした。
しかし、時が流れうちに、カーペットやカーテンがあることが当たり前となりました。
すると今度は、“趣向や遊び心を満たすこと”という条件がアメニティに加わりました。
そして、今、それ(自分自身の快適さ)だけでは心が落ち着かなくなったのです。
自分自身へはもちろん、家にも、そして地球にも優しい…。そんな土台があってこそ得ることができる“アメニティ”を、「住江織物」は追求しています。

●住江織物株式会社

奈良事業所
〒639-1064 奈良県生駒郡安堵町大字窪田634番地1
TEL:0743-57-3181 FAX:0743-57-4047
本社 
〒542-0081 大阪市中央区南船場3丁目11番20号
TEL:06-6251-0081(代)
ホームページ http://suminoe.jp/

●関西ラボラトリー株式会社 奈良ラボ

〒639-1064 奈良県生駒郡安堵町大字窪田634番地1
TEL:0743-57-3279

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