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4月11日(金)、“先人の志と知恵”や“現在に 活用できる古くて新しい要素”を発見するため、 大阪・北浜「適塾」→大阪・道修町「小西家」→ 大阪・備後町「綿業会館」を見学しました。 今回は小雨がパラつくあいにくの天候の中、北浜 〜本町までの長い距離を移動しながら3つの建築 物を観てまわるという大変な状況でしたが、参加 者の半数が女性だったということもあり、いつに なく華やかな会となりました。
まず最初に訪れたのは、かの福沢諭吉も在籍していた緒方洪庵創建の「適塾」。この蘭学の第一人者が日本に残した功績は、語るに尽くせぬほどです。1845年に購入された同町屋は、1964年に国の重要文化財に指定されました。木造一部2階建てのこちらでは、1F「客座敷」で館内案内のビデオを観た後、2Fの「ヅーフ室(当時極めて貴重であった蘭和辞書が保管されている部屋)」などを見学しました。建築物として一番印象的だったのは階段で、現代のバリアフリーもなんのその、ステップ部分が極端に狭く、段差が激しいため、参加者の面々は、恐々と上り下りしました。
次に向かったのは、ボンドの老舗メーカーとして有名な「コニシ株式会社」の旧社屋「旧小西家住宅」。薬種商の町である道修町に1903年に建てられたこちらの建築物は、2001年6月に、“意匠的に優秀である”、“地方的特色が顕著である”として、国の重要文化財に指定されました。2階部分のあるひとつの扉を開けると目の前に屋根があったり、トイレにはTOTO便器の初期モデルを使用していたりと、見所はたくさんありましたが、なかでも、欄間に対するこだわりには目を見張るものがありました。
最後に訪れたのは1932年に開館した「綿業会館」です。渡辺節氏が設計し、ヘッドドラフトマンとして村野藤吾氏が参画したこの会館は、150万円(現在の金額に換算すると60〜70億円に相当)を基金に建てられたそうです。ゴージャスな内装や調度品に囲まれたこちらでは、各部屋ごとにスタイルを変えていて、イタリアルネッサンス調、クイーン・アン・スタイル、アンピール・スタイルなど、世界各国の様式を取り入れています。スタイルのみならず、将来を見据えた様々な工夫が凝らされていることに、参加者の皆さんは感心している様子でした。また同時に、贅を尽くした非日常的な空間の中、参加者同士の会話もはずみ、それぞれが楽しい時間を過ごしました。
■適塾 大阪市中央区北浜3-3-8
TEL:06-6231-1970
■旧小西家 大阪市中央区道修町1-6-10
TEL:06-6228-2811(本社)
■綿業会館 大阪市中央区備後町2-5-8
TEL:06-6231-4881
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