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KJK INFO
----2003年4月----
 ●「手軽にできるカビ対策」
 
ようやく寒い冬も終わり、穏やかな春の陽気が漂うようになりました。これからしばらくは暖かく、しかも湿度もさほど高くない1年で最も快適な季節です。しかし、これもつかの間で、やがて毎日じめじめとした雨の続く梅雨が始まります。もっとも5月にも、菜種梅雨と呼ばれる雨の多い時期があります。

「雨はいやだ」という人が多いのではないかと思います。四季がはっきりした日本ではやむをえないことですが、雨は一方で日本の農業をささえる原動力になっています。特に米を主食とする日本人にとって水田を維持するためには必要不可欠なものです。ところで梅雨が嫌いだという人にその理由をたずねると、「洗濯物が乾かない」や「雨でどこにも出かけられない」といった意見に加え、「カビが生えて嫌だ」という声が多く聞かれます。

高温で多湿なこの時期は、人にとって不快であってもカビにとっては快適な生活環境です。ちょっと気を抜くとすぐに食品にカビが生えてきます。食品だけでなく、壁や畳など室内のいたるところにカビが生えてきます。靴や汗を吸い込んだ衣類にまで生えてきます。
カビが生長するためには空気、温度、栄養および水分が必要です。梅雨時期にはこの全てがそろいます。水分を含んでじめじめした空気が室内に流れ込み、冷たい壁などに触れると冷やされて結露を起こします。この水分と、壁などの表面に付着したゴミやホコリなどを栄養にしてカビが生えるのです。やがて胞子という種のようなものを作り、空気中に漂って食品などに付着すると、食品の豊富な栄養を利用してますます生長します。

「梅雨にはカビは生えるもの。どうしようもない」とただあきらめないで、何か手を打ちましょう。カビが生えるには4つの条件が必要と申しました。温度や空気それに栄養を取り除くことはまず不可能です。そこで水分対策になります。室内に湿った空気を取り込まないことが大切です。そのために雨の日には窓やドアを開け放たないこと、また、できれば除湿器やエアコンの除湿機能により空気を乾燥させること、逆に晴れた晴天の日には窓をいっぱいに開放して室内の湿った空気を追い出すこと、食品は冷蔵庫などに保管しできるだけ早く食べることなど、ちょっとした行動だけでもカビの発生を遅らせてくれます。

浴室はカビ対策の盲点です。室内で最もカビ発生の多いところが浴室です。飛び散った石けん分が壁に付着しています。これを栄養にしてカビが発生します。サッと水で石けん分を洗い流し、残り湯は流すが浴槽にふたをし、水蒸気が浴室内にこもらないようにします。最後に窓と入り口のドアを開放して空気がよく流れるようにして、浴室内を乾燥させ結露を防ぎます。
カビ対策はだれにでも手軽にできます。室内や浴室内に湿った空気が入らないようにあるいは溜まらないように注意し、少しでも快適に梅雨を過ごせるよう心がけましょう。

防菌防黴部会
小林智紀
株式会社 日本衛生センター