清浄な空気は安全で快適な住宅すなわち健康住宅の形成にとって必要不可欠な存在です。ところが、近年この空気環境が逼迫した状況にあります。
先ず、地球環境を破壊する温暖化の主原因はCO2濃度の増加であり、そのために、省エネルギー化を図らなければなりません。しかし、未だに交通機関と民生用エネルギーの消費が増加傾向にあり、問題です。また、中国大陸からの黄砂の飛来や自動車排ガスによる大気汚染も一向に改善されていません。これら温暖化や大気汚染は地球規模のグローバルな問題であると同時に、私どもの日常生活に直結した問題でもあります。
また、室内空気環境においても、近年、省エネの目的で、住宅の高断熱・高気密化が推進され、有害化学物質によるシックハウスが社会問題となりました。そこで、建築基準法などが改正されたりしましたが、まだまだ問題は多いと言えます。ホルムアルデヒド以外のVOC物質やそれらの複合汚染に対する有害度の評価や汚染した室内空気と新鮮外気を入れ換える換気による浄化効果の判定などは複雑で、なかなか難しいです。最終的には、居住者の空気汚染に対する意識を高めることが必須です。さらに、抜本的に従来の機能性・快適性重視から勿体ない思想に基づく環境共生的な生活に変革する必要があります。
そこで、本部会では、実生活に基づくVOCや臭気などの空気汚染に関する実態調査や評価方法の検討、さらに、換気手法や空気清浄機の浄化効果などの情報収集と研究を行い、少しでも省エネ的で健全な空気環境の形成に役立てることを願っています。
空気環境部会 専門委員 楢崎 正也