生活用水の使用量の25%を占めるトイレ(大便器)の節水化動向についての文献を調査し、その内容をまとめた。 大規模な渇水に連動して節水型大便器が発売されており、1975年には12L以上の便器が主流だったが、現在では8Lまで節水化されている。しかし、世界的には6Lの規制が広がっている。日本でも近年更なる節水化の動きが始まり、2000年には洗落し式の6L大便器が開発され、公団集合住宅での試行導入が始まったが、広く普及するには課題が残されている。 日本では節水化とともに衛生性・快適性の要望が高く、それには水溜りの大きいサイホン式の大便器が望ましい。この便器での節水化は排水性能を低下させるので技術的に難しいが、現在では大8L・小6Lの大便器が発売されている。 一方、トイレの洗浄水は、便器から排出された汚物を公共下水道まで搬送する役目も持っている。排水横管については、空気調和・衛生工学会規格で必要な配管勾配が定められているが、これは従来のシステムで問題の生じない勾配である。節水のために洗浄水量を減らすことでの屋内・屋外排水管や下水道といったインフラでの汚物詰まりのトラブルの懸念も指摘されている。 節水化便器が普及には、便器単体の機能向上だけではなく、搬送の性能が規格化され、さらには住宅内および下水道までの配管敷設条件がある程度具体的に提示、規格化されることが必要である。 |