空気環境部会
においのQ&A

においの実態

“におい”の発生メカニズムとは?(トイレ臭、浴室・台所の水周りの臭気)

トイレ臭(し尿臭)の発生メカニズム
 し尿臭、いわゆる「おしっこのにおい」は用を足した直後には発生せず、バクテリアの作用により尿中の成分が分解されることによって生じます。まず、バクテリアの持つ酵素(ウレアーゼ)の作用により、残留した尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解されます。アンモニアが生成すると、pHが上昇して尿中のカルシウムイオンなどが炭酸塩、燐酸塩として析出し、尿石を形成します。形成された尿石は多孔質のため、様々なバクテリアや有機物の温床となり、増殖してアンモニア、トリメチルアミンなどの成分からなる強烈な腐敗臭を放出することにより、においが発生します。
(出典 :東陶機器株式会社資料、イラスト :YKK AP 株式会社)


浴室、台所などの水周りの臭気の発生と対応
 浴室や台所から発生する臭気としては、排水口から発生する下水臭や、カビの発生によるカビ臭等があります。
<排水口の下水臭>
 通常、浴室や台所の排水口にはトラップが設けられています。これは、排水管から逆流した下水臭が室内に入ってくるのを防ぐ効果があります。排水トラップの方式として、以下のワン(ベル)トラップやPトラップ、Sトラップなどがあります。
 ワン(ベル)トラップでは、髪の毛等がトラップに引っ掛ってそれが毛細管現象で封水を流してしまったり、あるいは水の流れが悪くなったために、意図的にトラップ金具を取り外してしまって、封水がなくなる場合があります。また、Pトラップ、Sトラップ等でも、長期間留守にした時などに封水が自然蒸発してしまう場合があります。こういったことが原因で下水臭が室内へ逆流し、排水口からにおいが発生することがあります。

出典 :東陶機器株式会社資料

<カビ臭>
 浴室は水蒸気の発生が多いので、カビにとっては最高の繁殖環境です。カビは、喘息、目や鼻の炎症、体の痒みなどのアレルギー抗原の一つとなり、過敏性肺炎を引き起こすこともあります。カビは、温度20〜30℃、湿度70〜95%RHが最適生育条件ですが、湿度だけでなく、温度、栄養、酸素なども生育に関係しています。
 そこで、発生源対策としては、生育条件のいずれか一つを絶つことがポイントとなります。浴室使用後にできる限り換気、通風を心掛け、湿度を低く抑えるのが効果的な対策の一つです。
 また、空気中に浮遊するゴミや身体の垢・石鹸などが壁面などに付着して栄養分となるため、これらを洗い落とし、壁面にカビが発生しないよう常に清潔にすることもカビの発育を抑えるのに効果的です。
 壁面が結露していると、カビ胞子がそこに付着し、カビが発生します。壁面の断熱性を高め、結露しないようにするとか、室内水蒸気を速やかに換気によって排出することを心掛けましょう。